こんにちは、アフリカ在住ブロガーのぴかりん(@dujtcr77)です。
今回は落語『やかん』の紹介をします。
あらすじ
よくも知らないことを、むやみに知っているふりをする人がおります。
つまりお前のことだぞ
この家のあるじは知ったかぶりがひどく、高慢な口にききよう。
こちらが何か口にすれば、「ああでもない」「こうでもない」と妙なこじつけで煙に巻く。
世の中に知らないものなんかないんでしょ?
じゃあ、世の中にはいろんな魚の名前がありますが、あれは誰がつけたんです?
どうでもいじゃないか
あれは、いわしだ。
じゃあいわしの名前は誰がつけたんですか?
ほかの魚たちが『名前をつけていただきありがとうございます。あなたのお名前は?』と聞くから、
『わしのことはなんでもいわっし。』と答えた。だから、いわしとなった
マグロは真っ黒だから。
ほうぼうは落ち着くがなくほうぼう泳ぎ回っているから。
変だなあ…どうも。
またこの調子で、
ヒラメは平ったい所に目があるからヒラメ。
カレイはヒラメの家来で、家令(華族のいえの管理人)をしているからカレイ。
しかしある時、鵜という鳥がこれを飲み込もうとしてあまりに大きいので飲み込めずに苦しんでいた。
これを見たひとが『鵜が難儀している。鵜が難儀だ。鵜難儀、うなぎ』となった
だがいかにも名前が悪い
そこでひっくり返して「かば焼き」だ
話は変わって日用品。
茶碗は動かずちゃわんとしている。
土瓶は泥でできた瓶だから土瓶。
むかしは…水わかしといった。
それを言うなら湯わかしでしょう?
水をわかして、はじめて湯になるんじゃないか
昔、川中島の戦いで片方が夜討ちをかけられた。
「夜討ちだ、夜討ちだ!」
という声を聞いて兵士たちはてんやわんや。
人のかぶとをかぶっていくものがいるかと思えば、
ひとつの鎧を取り合って大騒ぎ。
このとき1人の若武者が跳ね起きたが、枕元に置いてあったかぶとがない。
さて困ったと、かたわらを見ると、そこには大きな水わかし。
そこで湯を捨てて、かぶとのかわりにかぶった。
この若武者が強く、敵の陣地を縦横無尽に荒れまわる。
敵がいっせいに矢を放つと、矢が水わかしにあたってカーンと音がした。
また放つとカーン。矢が飛んできてはカーン。矢カーン。
こりゃごくろう様です
しかし、あんなものをかぶったら戦をするのに不便じゃありませんか?
フタはつまみのところを加えて面のかわりにした
つるは顎へかけるから、水わかしが落ちなかった
やかんの口は、むかしの戦はみんな名乗りをあげるから、それを聞くためにな
耳なら両方になりそうなもんじゃないですか?
解説
別名を「無学者」「やかん根問い」などと言い、原話は1772年発刊の笑話本『鹿の小餅』にあります。
『千早振る』などと同様の知ったかぶりをコケにした噺。
『千早振る』は完全なでたらめ論を長い物語にでっちあげるが、『やかん』はQ&Aの一門一答です。
落語家のあいだで中途半端な知識を振り回すのを「あいつはやかんだ」というくらいに有名な噺になっています。
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