落語

年末に聞きたい古典落語『芝浜』あらすじ・解説

こんにちは、アフリカ在住ブロガーのぴかりん(@dujtcr77)です。

最近落語にハマってしまって、暇さえあれば落語を聞いたり落語作品に没頭してます。

今回ははじめて出会った落語『芝浜』の紹介をします。

あらすじ

芝の金杉に住んでいた魚屋の金さん。
腕のいい魚屋で、ほかに道楽はないが、酒を飲むと商売をなまけるのが玉にきず。

もう師走で年越しも近いというのに、仕事をしばらく10日も休み、大酒を食らって寝ているばかりです。

さすがに我慢の限界にきた女房。
冬のある日、嫌がる金さんを起こして言います。

女房
女房
ねえ、おまえさん。はやく起きて魚河岸へいっとくれよ。

おまえさん、もうずいぶん商売を休んでるんじゃないか。

金さん
金さん
そんなこと言ったって、もう10日も休んでるんだ。

盤台がしょうがあるめえ。

しかしそこはさすが長年魚屋の女房を務めてきただけのことはある。
糸底へ水がはっているからいつでも使えるようにしていました。
包丁もしっかり研いであれば、わらじも出ている

女房に言われてしぶしぶ魚河岸へ来た金さん。
しかしまだあたりは暗く、早く家を出過ぎたことに気が付きます。

金さん
金さん
かかあのやつ、時刻をまちがえてはやくおこしやがったんだな。

まあ、しょうがねえや。浜へ出て顔でも洗うとするか。

こうして浜にやってくると、足に引っかかるものがあります。
それは革の財布で、中には大金がはいっているではありませんか。
金さん、あわてて財布を持って家に帰ります。

金さん
金さん
いま、浜で財布を拾っちまったんだ。

おどろいちまって…いったいいくら入ってるんだ?

女房
女房
あら、あら、50両も…

これで当分は遊んで暮らせる。

喜んだ金さんは仲間を集めて祝い酒をしようと、さっそく友達を呼んで飲めや唱えの大騒ぎ。
あげくに酔いつぶれてそのまま寝てしまいました。

女房
女房
おまえさん、おまえさんでば。

あしたの朝はやいんだから、ちゃんと布団に入っておやすみよ。

金さん
金さん
じょうだんじゃねえ。

商売なんておかしくって…

女房
女房
なにいってるんだよ。

きょうの飲み食いの勘定だって払えやしないじゃないか。

金さん
金さん
そんなものはあの50両で払えばいじゃねえか。
女房
女房
え、なんだい?50両?どこにそんなお金があるのさ?
金さん
金さん
おいおい、寝ぼけちゃいけねえよ。

今朝おれが芝の浜で拾ってきた50両があるじゃねえか。

女房
女房
なにいってるんだよ。

おまえさん、けさ、芝の浜なんぞにいきゃあしないじゃないか。

女房は金さんに嘘をついて、50両をひろったのは夢だと信じ込ませてしまいます。

金さん
金さん
するとなにか?

財布をひろったのは夢で、酒を飲んだのは本当か?えれえ夢を見ちゃったもんだ。

それにしても、金ひろった夢みるなんて、我ながら情けねえや。もう酒はやめて商いに精を出すぜ。

それからというものは、好きな酒もすっかりやめた金さん。
朝はやくから河岸へゆきまして、いい魚を仕入れてきては、お得意さまへ持っていきます。
もともと腕のいい金さん、お得意さまは増えていくばかり。

それから3年目の大晦日の晩。

金さん
金さん
ああ、いい心持ちだなあ。

こうやって畳をとりけえた座敷で正月をむかえられるなんて…借金取りの来ねえ大晦日なんてうそみてえじゃねえか。

本当のことを話すときが来たと考えた女房は、財布を持ってきて言います。

女房
女房
聞いてもらいたいはなしがあるんだけれど…

あたしの話がすむまでは、どんなことがあっても乱暴なことはしないって、おまえさん、約束しておくれよ。

こうして女房は金さんに3年前に財布が拾ってきたのは夢でなかったこと、
そしてそれは金さんのことを思ってのこどであると打ち明けました。

女房
女房
おまえさんが、雪の朝なんぞに、買いだしに行くときには、あたしゃ、そっと手をあわせて、いつもおまえさんにあやまっていたんだよ…。

このお金も、落とし主がいないからって、かなり前にお上からさがってきたんだけど、これをみせて、おまえさんがもとの怠け者に戻っちゃいけないと思って、あたしゃ、心を鬼にしていままで隠してきたんだよ。

でも、もう店もこれだけになったんだし、おまえさんにもすこしは楽をしてもらおうと思って、おわびかたがた、このお金を出したのさ。

自分の女房に嘘をつかれていて…どうか気のすむまで、あたしをぶつなと蹴るなとしておくれ。

金さん
金さん
おうおう、待ってくれ。どうして、殴るどころのなはしじゃねえや。

そんなことをしたら、おれの手がまがっちまわあ。

えれえや、おめえは、まったくえれえ。

金さんは怒るどころか、自分をここまで働き者にしてくれたのは女房のおかげだと、礼を言いました。
許してもらった女房は、機嫌なおしにと用意しておいたお酒を出します。

こうして久しぶりのお酒を注がれたきんさん。

金さん
金さん
なつかしいなあ、おい、お酒どの。

しばらくだったなあ、よくもまあご無事で。

たまらねえやどうも…

いや、やめとこう…

女房
女房
どうしたんだい?
金さん
金さん
また夢になるといけねえ。

参考:『古典落語(上)』

解説

三題噺

芝浜は「人情噺」の代表格で、『文七元結』と並ぶ名作に数えられる。
三遊亭円朝が「酔っぱらい・芝浜・財布」の三題噺としてまとめたことから誕生したと言われています。

三題噺とは

落語の形態のひとつであり、寄席で客に出されたお題から即興で演じる噺のこと。

噺家によってさまざまに小さなアレンジ

拾ったお金を、旧三遊派では「ばにゅう(盤台)」へ、柳派では「腹がけのどんぶりに」と演じていました。

また、魚屋の名前も熊さんだったり金さんだったり、
拾ったお金の金額も50両だったり80両だったりと一定していません。

故・三代目桂三木助は、落語の類型にない勝五郎という名前を選び、金額も半端な42両として、写実的な味を狙いました。

また、まくらや終わりの場面など、すっきりしていて江戸前の味を出していました。

おすすめ落語家とその『芝浜』が収録された作品

人によって表現方法や細かい設定が変わってくるので、いろんな落語家さんの話をききくらべると面白いです。

古今亭志ん朝

立川談志

柳家小三治

『芝浜』現代版?立川談笑の『シャブ浜』

『芝浜』を立川談笑さんが現代風にアレンジした『シャブ浜』

是非『芝浜』を聞いてからお楽しみください。笑

主人公は、元暴走族のトラック運転手。
覚せい剤に手を出して、ここしばらく仕事に行っていない。

ある朝妻に起こされ、しぶしぶトレーラーに乗って仕事に行ってみると時間が早くて営業所が開いていない。
しかたなく近くの公園で時間つぶし&注射。

ふと植え込みに置かれたジュラルミンケースが目に入った。開けてみると札束がぎっしり。

引用:立川談笑:古典落語の名作『芝浜』を大改編!

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