(※2016年11月14日更新)
こんにちは、アフリカ在住ブロガーのぴかりん(@dujtcr77)です。
今回は落語『まんじゅうこわい』の紹介です。
『饅頭こわい(まんじゅうこわい)』とは
有名な古典落語の1つ。
寿限無などと並んで、落語にくわしくない人にも知られている話です。
中国の『五雑俎』という本にある話で、貧乏書生がまんじゅうを食べたいために、
まんじゅうがこわいと言って、まんじゅう屋のいたずら心をかきたてて、うまくまんじゅうをせしめる噺がもとになっています。
これが日本で翻訳され、『気のくすり』『詞葉(ことば)の花』などの談笑本になると、日本風の「まんじゅうこわい」になってきました。
あらすじ
町の若者たちが集まってそれぞれがこわいモノの話をはじめます。
「へびがこわい。おれは長いものが皆ダメだ」
「おれは蛙だね。見ると体がすくんじまう」
「おれはなめくじ」
「ありがこわい」
蜘蛛がこわい、馬がこわい、こんな調子で次々にこわいもんを話す中、ひとり黙っている熊さん。
「おい、熊さん、おめえは、さっきから、おれたちの顔をみながらたばこばっかりのんでいるが、いったい何がこわい?」
人間は万物の霊長といって、いちばんえれえんだぞ。
それがなんだってんだ。へびがこわい、蛙がこわいだってやがら…人間やめちまえ
熊さんは続けます。
くもなんか納豆の中へほうり込んで、かき回しちまう。
馬なんかからだはでかいけれど、気の小さい動物だ。こわいことなんかあるもんか。
四つ足なら、おれはなんでも食っちまうぞ。
「なんだい、とんだところでおとばなしをしてやがる。ほんとうにこわいものはないのかい?」
「考えたら1つくらいあるだろう。」
でもこれを言うとおめえたちが笑うからな…
「笑わねえから白状しねえな」
「まんじゅう?そんな虫いたかな?」
「食うまんじゅう?うそだろう」
「すると唐まんじゅうなんか…」
「じゃあそばまんじゅうは?」
「おい、お待ちよ。せっかくみんなあつまってるのに、おまえひとり帰ったらさびしくていけねえ。どうだい、奥の六畳でひとやすみしねえか」
こう言って奥で休みはじめた熊さん。
他のものはさんざん威張っていた熊さんがまんじゅうがこわいと知っていたずらを考えます。
みんなで銭を出し合って、寝ている熊さんのまくらもとにまんじゅうを置いて、起こして怖がらせよう…
「まんじゅうと聞いただけで顔色が変わったくらいだから、本物のまんじゅうを見たら死んじまうよ」
「まんじゅうで暗(あん)殺だなんて」
「変なシャレを言ってるんじゃないよ」
こんな調子でそれぞれがまんじゅうを買って来て計画通り熊さんの寝ている枕元に置きます。
「熊さん、熊さん、ちょいと起きてごらん」
…あーっ!まんじゅう!!うわー!
助けてくれ!!
「しめしめ、熊公のやつ、まんじゅうみてふるえてやがらあ。」
…ああ、唐まんじゅう。こういう高いものは、こわいからまっさきに消えてもらわなくては…。
いいあんこだな…
ああ、栗まんじゅう…こわい…。
と言いながら熊さんはまんじゅうを食べ始めました。
「おい、様子がおかしいぞ。野郎、こわいこわいと震えながら、まんじゅうを食ってるぜ。
あっ、しまった。一杯食わされた!」
部屋に入って熊さんに言います。
「やい、熊公、あんまり馬鹿にするない!てめえ、こわいどころか、まんじゅうをむしゃむしゃ食いやがって…」
こういうこわいものを、いつまでもこのままにしておいては体のためにならないから
「なんてずうずうしいんだ。まんじゅうなんてこわくないじゃねえんか。
やい熊公、てめえが本当にこわいのは、いったいなんなんだ?」
参考:『古典落語(上)』
現代でもいたるところで
タイガー&ドラゴン
TOKIOの長瀬智也さん主演の落語をテーマとした連続ドラマ『タイガー&ドラゴン』 では、毎回1つの落語がテーマとなってストーリーが展開されます。
その第2話が今回紹介した「まんじゅうこわい」でした。
絵本
落語絵本シリーズで絵本にもなっています。
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