こんにちは、青年海外協力隊の根本(@dujtcr77)です。
今回は2016年の活動の総括を書きたいと思います。
経緯なども細かく書いたので、結局何をやっているのかだけ知りたい方は目次より飛んで
「3.3 記帳代行をやろう」からお読みください。
そもそも何をやるために来たの?
あまり活動の話をしないのでブログを読んでくださっている方でも、
私が何のためにルワンダに来たのか疑問に思っていることでしょう。
青年海外協力隊には「職種」と呼ばれるいわば活動の分野のようなものがあります。
私は「コミュニティ開発」という職種で、
「配属された地域を開発していこう」というかなりざっくりなものになります。
悪く言えば丸投げ、良く言えば自由。
自分で考えていろいろやりたい人には向いている職種だと思います。
かく言う私もあれやれこれやれと言われるよりは自分で色々と試してみたいタイプなので、
とりあえずこの職種には満足しています。
活動前半
何をして良いかわからない
さて、ルワンダに来て首都での1か月間の現地語研修を終え、
任地であるムウォゴという村での生活がスタートしました。
初めてくる国の、しかも超ド田舎。
ほとんどの人が英語も通じない。
現地語なんてまだとても喋れない。
「じゃあ、村を開発してください。」
って言われて出来る訳もなく。
最初は現地を知ることから始めなければいけません。
調査&勉強の毎日
というわけで初期のころは情報を集めるために、
少しでも英語が出来る人をつかまえて聞き込み調査をしたり、
自分でヒアリングができるように現地語の勉強を行っていました。
この時期に主に訪問していたのはコーペラティブ。
コーペラティブは訳すなら「協同組合」。
ここではあまり重要ではないので雑な言い方をすると会社のゆるい版みたいな感じです。
私の活動するムウォゴという地域には正式に登録されていて、かつ活動の実態があるコーペラティブは8つ。
これをカウンターパートと呼ばれる相方と一緒に回っては問題点や活動状況を聞き込みします。
意外に早く問題点発見
これは時間がかかるな…と予想していましたが思ったより早く問題点を発見。
コーペラティブを訪問すると「お金がない」という割にはイマイチ責任者自身が問題を把握しきれていない様子。
そこで、コーペラティブの資料を一通り見せてもらうとほとんどまともに記帳を行っているところがない。
売上だけなんとなく記録していたり、
とにかくわかる範囲でなんとなくやっている組織ばかりで、
これでは何が問題かすらわからない。
このときにこんな記事を書いています。
結果として、簿記を教え始めたものの手ごたえがない。
自分にもルワンダ人にも手ごたえがない。
これは成果が出ていないという意味ではなく、なんか響かない。
そりゃそうだ
よくよく考えてみれば当たり前なんですよね。
簿記を教える時にはまず「なぜ、日々記帳することが大切か?」
というところから一緒に考えるようにしていました。
記帳をしないと以下のように様々な問題点がある。
- 毎月どれだけのお金が出ていくか感覚ベースでしか確認できない。
- 過去の記録を遡って分析することができない。
- 正しく税金を納めることができない。
だからお金を稼ごうとすることも大事だけど、
まずはしっかりと記録することが大事なんだよ…
本当にそうなのだろうか?
腹減ってどうしようもない時に米の栽培方法を一生懸命教えられても、
「うるせえライスよこせ」ってなるのと同じように、
今の彼らには記帳なんてどうでも良いのではないか?
上に挙げたようなことが問題点になる以前の問題で、
まず最低限のお金と仕事が大事なんじゃないかと思ったんです。
活動後半
そこでいったん原点に戻りました。
ルワンダ人の求めていることをもっとストレートに聞いてみることにしたんです。
ルワンダ人は「お金が欲しい」「仕事が欲しい」と言っている。
私がやることはお金以外のものの重要性を説く事ではなく、
ルワンダ人の欲しがっているものを提供するというもっとシンプルなものでもいいのではないか?
ヘンリー・フォードになる必要はない
自動車を開発したことで知られるヘンリー・フォードの有名な名言にこのようなものがあります。
「もし顧客に、彼らの望むものを聞いていたら、彼らは『もっと速い馬が欲しい』と答えていただろう。」
これは顧客が自分が欲しいものはわかっていない、
目の前にないものは想像できない、といったことを表す言葉です。
この発想が頭にあったためか、
「ルワンダの本当の問題点にはまだルワンダ人も気が付いていない」
と考え無理やり外部の視点をねじ込もうとしていました。
技術革新や先進国ビジネスにおいてはこういったアイデアが必要になってくるのかもしれません。
しかし徐々に、途上国開発では現地の人たちが問題だと感じていることへ一緒に取り組むこともひとつの正解だと思うようになりました。
ワンクッションはさむことに
そこで、彼らが求めている「お金」と「雇用」を生むというステップを最初に踏むことにしました。
- 最低限のお金と仕事をつくりだす
- 経営や組織運営(記帳も含め)を整備する
- さらなる発展…
ここでルワンダ人の期待に応えることができれば、
次のステップに進むときにも「ヒカルのいう事なら…」
と話がスムーズにいくかもしれない。
ただここでも問題があります。
お金の絶対的な保有量の少ないこの地域だけでお金を動かしても収入の底上げにはつながらない。
外からお金が欲しい。
記帳代行をやろう
そんな中思いついたのが記帳代行。
記帳代行とは「会社の経理業務を代行して行うサービス」です。
会社は日々の取引を記録しなければなりません。
その中には、かなりの単純作業が含まれているんですよね。
たとえばレシートから金額や日付などをペチペチPCに打ち込んだり。
少しこちらで手を加えてあげれば、
会計を知らない、言語をしらないルワンダ人にも作業ができるレベルまで落とし込むことが出来そうだ。
イメージしずらい場合は「データ入力業務」などが近い作業になります。
そう考えて日本企業とルワンダ国内の企業から仕事をもらう準備をしてきました。
活動イメージ図
そうして出来上がったのが以下のビジネスです。
実際の組織形態やお金の流れは省略し、簡便的な流れのみを示しています。
日本企業がクライアントの場合
![](https://hinemoto1231.com/wp-content/uploads/2016/12/201612131200.png)
ルワンダ現地企業がクライアントの場合
![](https://hinemoto1231.com/wp-content/uploads/2016/12/201612131201.png)
双方の「強み」を生かせる
私は日本で会計士として働いていたため、
簿記に関する知識があります。
ルワンダの税務を知る必要はあるものの、
ゼロベースで積み上げていくよりははるかに有利です。
また一方で、ルワンダ人の得意な作業の1つが「単調作業の繰り返し」
私だったら1時間で飽きてしまうような単調な作業を、
嫌な顔せず何時間も続けることが出来るひとが多いのです。
作業スピードは速くないのですが真面目な国民性から来ているのか、
比較的1つ1つの作業は丁寧に終わらせます。
記帳代行でもスピードがあるにこしたことはありませんが、
何より重要なのは正確性。
そう考えるとルワンダ人にはかなり作業適性のあるもののように考えられます。
本格始動は来年から
なかなかお客さんの獲得に苦戦をしていて、
本格的な始動は少し後ろ倒しになっていますが来年からボチボチ動き始めることができそうです。
![](https://hinemoto1231.com/wp-content/uploads/2016/12/201612131202.jpg)
写真は記念すべきお客様第1号のルワミッツ。
撮影・記事掲載許可は社長より頂いております。
協力隊OBの木下さん(インタビュー記事)が経営しているルワンダ国内の会社で、
ジャムやクッキーなどの生産・販売をしています。
元協力隊の方がまた同じ国に戻って始めたビジネスがどんなものなのか、
ホームページもあるので是非覗いてみて下さい!
2017年の展望
これからは、いま頂いている仕事をこなしつつ、
もう少しお客様の開拓をしていかなければなりません。
また、今後は記帳代行に限らず他の業務にも広げられないかも模索していく予定です。
(たとえばデータ入力など、遠隔かつルワンダ人でも出来そうなもの)
まだまだ迷うことばかりですが、
その時その時に自分のやっていることだけでも信じて突き進もうと思っています。
つぎにおススメ!
・【ルワンダ起業家 木下一穂さん】ルワンダで活躍する日本人<直撃インタビュー>
・【公認会計士・ルワンダナッツCFAO 笠井優雅さん】ルワンダで活躍する日本人パート②<直撃インタビュー>