こんにちは、アフリカ在住ブロガーのぴかりん(@dujtcr77)です。
今回は落語『寿限無』の紹介をします。
むかし覚えた方、まだ寿限無言えますかね?
あらすじ
親子の愛情というのはたいへんなもので、どんなかたちでも、わが子のこととなると夢中でさわいでおります。
お七夜といえば、きょうは名前をつける日なんだよ。
どうもおまえさんじゃあいい名前がつけられそうにないから、お寺へ行って和尚さんにつけてもらうといいよ。
いってくるぜ…
こうして旦那はお寺へ行き、男の子に長生きするような縁起の良い名前をつけて欲しいと頼みます。
もっと長いのはありませんか。
人なかで、ああやってあたまをおさえられてばかりいたんじゃあ出世できませんや。
こんな調子で提案された案をを全部取り入れてこんな名前ができあがりました。
寿限無寿限無
五劫のすりきれ
海砂利水魚の水行末、雲来末、風来末
食う寝るところに住むところ
やぶらこうじのぶらこうじ
パイポパイポ、パイポのシューリンガン
シューリンガンのグーリンダイ
グーリンダイのポンポコピーのポンポコナの
長久命の長助
この名前が性に合ったのか、病気らしい病気もせずに育ちまして、学校へ通うようになると朝、ともだちが誘いにまいります。
「寿限無寿限無、五劫のすりきれ、海砂利水魚の水行末、雲来末、風来末、食う寝るところに住むところ、やぶらこうじのぶらこうじ、パイポパイポ、パイポのシューリンガン、シューリンガンのグーリンダイ、グーリンダイのポンポコピーのポンポコナの長久命の長助さん、学校へいかないか?」
うちの寿限無寿限無、五劫のすりきれ、海砂利水魚の水行末、雲来末、風来末、食う寝るところに住むところ、やぶらこうじのぶらこうじ、パイポパイポ、パイポのシューリンガン、シューリンガンのグーリンダイ、グーリンダイのポンポコピーのポンポコナの長久命の長助は、まだ寝てるんだよ。
いますぐに起こすから、ちょいと待ってておくれよ。さあ、
寿限無寿限無、五劫のすりきれ、海砂利水魚の水行末、雲来末、風来末、食う寝るところに住むところ、やぶらこうじのぶらこうじ、パイポパイポ、パイポのシューリンガン、シューリンガンのグーリンダイ、グーリンダイのポンポコピーのポンポコナの長久命の長助や、はやく起きて学校へ行くんだよ。
「おばさん、おそくなるから、ぼく、先へ行くよ」
このこどもが大きくなるにつれて、たいへんにいたずらなわんぱくものになりまして、いつも友達を泣かしたりしております。
ある日のこと、なぐられて、あたまにこぶができたと、わあわあ泣きながらいいつけにきた子供がいました。
「あーん、あーん…あのねえ、おばさんのとこの寿限無寿限無、五劫のすりきれ、海砂利水魚の水行末、雲来末、風来末、食う寝るところに住むところ、やぶらこうじのぶらこうじ、パイポパイポ、パイポのシューリンガン、シューリンガンのグーリンダイ、グーリンダイのポンポコピーのポンポコナの長久命の長助が、あたいのあたまをぶって、こんなに大きなこぶをこしらえたよ…あーん、あーん」
ちょいと、おまえさん、聞いたかい?うちの寿限無寿限無、五劫のすりきれ、海砂利水魚の水行末、雲来末、風来末、食う寝るところに住むところ、やぶらこうじのぶらこうじ、パイポパイポ、パイポのシューリンガン、シューリンガンのグーリンダイ、グーリンダイのポンポコピーのポンポコナの長久命の長助が、金ちゃんのあたまへこぶをこしらえたんだとさ。
どれ、みせてみな、あたまを…なーんだ、こぶなんかねえじゃねえか。
「あんまり名前が長いから、こぶがひっこんじゃった。」
名前の意味
■寿限無
死ぬときがない
■五劫のすりきれ
三千年に一度、天人が天下って下界の岩を衣でなでる。その岩をなでつくしてきれてなくなってしまうのを一劫という。それが五劫というので、何万年何億年かかぞえつくせない
■海砂利水魚
海の砂利も水に住む魚も取りつくすことができない
■水行末、雲来末、風来末
水の行く末、雲の行く末、風の行く末、いずれも果てしがなくめでたい
■食う寝るところに住むところ
衣食住は人間に欠かせない
■やぶらこうじのぶらこうじ
やぶこうじという木があり、春は若葉を生じ、夏は花咲き、秋は実をむすび、冬は赤き色をそえて霜をしのぐめでたい木
■パイポパイポ、パイポのシューリンガン、シューリンガンのグーリンダイ、グーリンダイのポンポコピーのポンポコナ
むかし、唐土にパイポという国があって、シューリンガンという王様とグーリンダイという王后のあいだに生まれたのが、ポンポコピーとポンポコナというふたりのお姫様で、このふたりが長生きをした
■長久命
天長地久という読んでもめでたい字
■長助
長く助ける
参考:『古典落語(下)』
解説
落語に触れたことがなくても「じゅげむ じゅげむ…」と暗唱したことのあるかたも多いのではないでしょうか。
上方では別名を「長命のせがれ」ともいいます。
このような長い名前の噺は、元禄16年(1703年)刊の笑話本『軽口御前男』をはじめとして、
各地の民話に見ることができます。
落語のイロハであり、前座噺として有名な噺です。
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