世界中の協力隊からインタビュー

【ボツワナ・ソーシャルワーカー】神田歩さん(平成27年度3次隊)

ドゥメーラ!南部アフリカはボツワナ共和国でソーシャルワーカーとして活動している、きゃんでぃ~(神田歩)です。
今回、大人気ブロガーのぴかるんにこのような機会を頂くことが出来たので、私の住んでいるボツワナについて、ずっと憧れていた青年海外協力隊について、そして大好きなソーシャルワーカーという仕事について、紹介させて頂きたいと思います。

自己紹介

高校3年生の卒業時、思い出づくりにとクラスメイト全員でタイムカプセルを入れたのがちょうど今から10年前のことです。その時にたくさんのプリクラと一緒に入れたノートに書かれた将来の夢は「青年海外協力隊で村落開発協力隊として女性や子どもたちの支援をする(できればニジェール)」でした。

私が当時通っていた高校で3年間、理科を教えてくれていたパワフルな女性マリちゃんは、私がその高校に入学した年に協力隊としてケニアから帰ってきたばかりで、授業の中でよくケニアの話を聞かせてくれました。それまで海外に一切興味がなかった私が3年後に協力隊になりたいと思うようになった大きな理由はマリちゃんとの出会いからだと思います。

それから大学で社会学を学び、4年生の春に内定を頂いていた国内大手保険会社に就職することを決めました。協力隊の夢は忘れてはいませんでしたが、当時はリーマンショック後すぐだったこともあり就職超氷河期。自身の存在価値は有名企業から、いかに多くの内定をもらえるかということ、と他人と競うような気持ちから就職活動、進路決定をしたように思います。

就職先も決まり、あとは卒業論文だけということもあったためゼミの先生の紹介で大学4年生時の約1年間、在日外国人の生活相談を受ける「NPO法人ふじみの国際交流センター(FICEC)」でインターンとして活動をさせて頂きました。

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(埼玉県内の小学校に国際理解教室で訪れていた時)

当時の私の主な活動は「外国籍児童の学習支援」と「ドメスティックバイオレンスから逃れてきた外国人女性の保護・自立支援」でした。ここでは全てを書ききれないのですが、この経験によって180度自身の価値観が変わってしまい大学を卒業後、内定を頂いていた会社で働くものの「あゆみが本当にやりたいことってソーシャルワーカーって仕事なんじゃない?」とフランス人のニコラさん(写真左)に言われ「やっぱり?」と翌月には働いていた会社を退職し、ソーシャルワーカーの養成校へ入学することにしました。

そして、それから7年が経ち今、私はボツワナでソーシャルワーカーとして活動しています。

協力隊応募、面接のアドバイス・体験談

【青年海外協力隊の面接内容】
協力隊の二次試験はJICAからの指定日で実施される(受験者の都合では日時の変更が出来ない)ため二次試験の日程が出たら、仕事を持っている人はすぐにスケジュールの調整が必要になります。特に私が受けた「秋募集」面接の場合、1月の初旬に二次試験が実施されたため年末のうちに当時働いていた職場との日程調整をする必要がありました(ここで職場の上司に初めて協力隊の試験を受けていることを伝えました)。

私が受験した時の協力隊の二次試験は「人物面接」と「技術面接」それぞれ15分ずつで計30分の面接のみ。「人物面接」では、その人のパーソナリティをより深く知ることに重きが置かれ、技術面接ではキャリアというよりも応募職種への適正を見ているように感じました。

人物面接で聞かれた内容

  • 志望理由
  • 家族や職場に今回の受験について報告したか
  • 転職の理由
  • 仕事をしてきて一番辛かったこと
  • 帰国してからのプランなど

技術面接で聞かれた内容【職種:ソーシャルワーカー】

  • 志望理由
  • 家族や職場に今回の受験について報告したか
  • 派遣されたら具体的に、どのような活動をしていこうと思っているのか
  • 今のあなたに何が出来るのか
  • 第1希望と第2希望に自分の中でどのくらい「差」があるのか?
  • 精神保健福祉士は取得できそうか(受験予定だったため)
  • 自身はストレスを溜やすいタイプかどうかなど

それぞれの面接での共有事項は志望理由と家族や職場に今回の受験について報告したか(また、その時の反応について)は本当に細かく聞かれたので、この2つの質問については、まとまった答えを用意しておく必要をとても強く感じました。
実のところ、合格通知をもらうまで働いていた職場の上司にそのことを伝えるのは、やめておこうかとも思いましたが結果的に二次の面接前にきちんと職場と話をしておいて良かったと思います。

受験を考えている方へのアドバイス

ソーシャルワーカーの技術面接など、実際に何かをやってみせることが出来ない職種の技術面接は試験官から「具体的にそこで何をしたいんですか?」とか「今のあなたに何が出来ますか?」と結構手厳しく聞かれるのではないかと思います。

そのため、今の自分が具体的に何が出来るのか、イメージを持てるようにするためにも実際に現地で活動をされている人の情報を集めるために、このように協力隊員が書いてくれているブログや、協力隊員がJICAに活動状況を報告するために書いている報告書などを読むことをオススメします。

報告書には、現地での活動状況(活動現場の課題や後任のボランティアに引継ぎたい事項など)が書かれていることも多く、求められる能力など、公式に発表されている募集要項などよりも、よく分かるので今の自分が出来ることを具体的に考えることも出来ると思います。

ちなみにボランティア報告書はJICA市ヶ谷ビルで閲覧可能です(地方の方には郵送のサービスもあるとのこと)。きっと、もっともっと青年海外協力隊に興味を持つことが出来ると思います。

出国までにやっておいて良かったこと

日本にいる間でやっていてよかったことは「英語留学」と「仕事経験」です。

私の場合、協力隊を受験した当時、英語にとても苦手意識を持っていました。それも少しあって希望していた国は非英語圏ばかり。しかし合格通知を開いてみると英語が公用語のボツワナに決まったため(私の場合は専門性とのマッチングで選ばれたとのこと)英語を勉強するために協力隊の訓練が始まる前の5ヶ月間、慌ててフィリピンに語学留学をしました。

留学は学生の時しか経験できないと勝手なイメージがあったのですが、いざ行ってみると学生だけでなくサラリーマンや孫がいるような方まで本当に様々な年齢、国籍の人が様々な理由で英語を勉強しに来ていました。一人ではなかなか勉強が続けられない性格なのを自分でよく分かっていたので留学でみっちり勉強できたのは良かったと思います(ただコミュニケーションを取ることを目的に勉強をしていたので身につけたのはサバイバルイングリッシュ、文法は今でもぐちゃぐちゃですが楽しく生活はできています)。

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(語学学校のクラスメイトと)

そして「仕事経験」というのは今、私はチャイルドラインボツワナというNGOでソーシャルワーカーとして活動させて頂いています。私は虐待や遺棄されて保護された子どもの心理ケアや学習支援、またアウトリーチで近隣の学校へ虐待防止のプログラムを実施していますが同僚から「日本でこういう時どうしてた?」「こんなこと出来る?」とアドバイスを求められることがとても多くあります。

日本でも情緒障害児短期治療施設という今の活動先と、とても似ている施設で働いていたため、子どもの見立てや支援方針などを考える時、日本での仕事の経験はとても役に立っています。それでも分からない、そんな時には前の職場の同僚やソーシャルワーカーの仲間に相談をしたりすることもあります。そんな風に困った時に頼れる人が日本にもいるということも私が、ここボツワナで生活を送る上でとても強い心の支えになっています。

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(前職の先輩から頂いた日本の教材を使って勉強する子ども)

おすすめ便利グッズ

日本から持ってきて良かったものは強いて言えば「シムフリーのスマートフォン」と「コンパクトデジタルカメラ」あと意外なところでは「マスキングテープ」です。

ボツワナでもSAMSUNGやHUAWEIなどのスマートフォンが日本と同じくらいの価格で手に入りますが、日本から持ってきたASUSのZenfoneはそれらに比べても機能性が高く便利に使っています。

アフリカ動物が見られるチャンスだと出発前に一眼レフの購入も検討しましたが、普段から写真を撮るのが苦手な私は、きっと持ち運ばないだろうとコンパクトデジタルカメラ(FINPIX)をひとつ持ってきました。毎日かばんに入れていて配属先の保護所にいる子どもの成長記録として写真を撮ったりするのを中心に使っています。

そして無くても困らないけどあって便利だったマスキングテープですが、何かと様々な場面で役立っています。

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(例えば接触が悪いコンセントを一時的に留めるなど、貼って剝がせるのが便利だったりする)

ボツワナはダイヤモンドの産出国で中進国とも言われる経済的に見ても他のアフリカ諸国とは大きく雰囲気が変わる国だと思います。私は首都であるハボロネに住んでいることもありインターネット環境も良く、近所には大きなショッピングモールやチャイナショップもあるので正直手に入らないものはほとんどありません。また郵便事情も安定しており日本から国際郵便EMSを送ってもらうと2週間で荷物が届くので、もしこれから長期でボツワナに滞在予定のある方も荷物について心配する必要はないと思います。

最後に

ボツワナに来て約5か月が経とうとしています。
正直、ここでの生活は楽しいことばかりではありません。
腹が立つこと、悲しいこと、命の危険を感じるような出来事もありました。
日本に帰りたいなと思うことが無かったわけではありません。

でもそれ以上に楽しいこと、嬉しいこと、そしてこの人に出会えて本当に良かった、そう思える人たちとの出会いが多いからでしょうか「やっぱり青年海外協力隊として」ここに来られて良かったと、そのような辛いことがあった日でさえ心から思うことが出来ます。

プライバシーの関係上、私の活動先で生活している子どもたちの写真を掲載することが出来ず残念ですが、ここの子どもたちの目は、いつだって太陽のように輝いていて元気いっぱいです。

青年海外協力隊になりたいと思ってから10年、夢が叶ってよかったと思っています。

でも、やっぱり経験しないとこの良さって100%分かってもらうのは難しい、だから是非多くの人に青年海外協力隊に参加して欲しい、そう思っています。

最後まで拙い文章にお付き合い頂きありがとうございました。
もし質問などあればFBのメッセンジャーなどにご連絡を頂ければ分かる範囲でお答えさせて頂きます。

 

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