こんにちは、アフリカ在住ブロガーのぴかりん(@dujtcr77)です。
わたしは今、ルワンダで青年海外協力隊として活動しています。
メインでやっている活動は「記帳のアウトソーシング(記帳代行)」。
簡単に言うとお客様(企業)から「日々の取引をパソコンに入力する作業」を受託するというビジネスです。
わかりにくい場合は「データ入力」の仕事がイメージとして近いものになります。
この記帳代行ビジネスにおけるルワンダ人の作業レベルを担保するサポートをするのがわたしのメインの仕事になります。
詳しい活動の内容は以下の記事で紹介しています。
[kanren postid="5075"]以前活動についての記事で、一緒に活動をしているルワンダ人の女性が非常に優秀だということを書きました。
しかしそれも「想定していたライン」と比べての話。
当然ビジネスとして成り立たせるにはもっともっと作業水準を高めていかなければなりません。
今抱えている問題は大きく2つ。
「正確さ」と「スピード」です。
いまルワンダ人にとって必要な能力
ルワンダ人には、何度も強調してこのビジネスにおいて重要なことを伝えています。
- お客様のデータを守る
- 正確さ
- スピード
1番重要なのは「お客様のデータを守る」ことです。
お預かりしている資料はお客さまの内部資料。
これを紛失してしまったり、勝手に写メをとるなど情報流出につながることは許されません。
つぎに「正確さ」。
こちらで入力したデータをもとに、お客様は税金を支払ったり、経営分析をします。
そのため、作業のミスが直接お客さまへ迷惑をかけることにつながってしまう。
また、信頼にも関わります。
最期は「スピード」。
しっかり税金さえ支払えればいい、というお客さまの場合にはスピードは正確さほどの重要さを持ちません。
しかしお客さまによっては出来るだけ早く入力されたデータを欲しいというニーズもあります。
また、一定以上の作業スピードを出してくれないとこちら側でビジネスとして成り立たなくなってしまいます。
なので「正確さ」には劣るものの、やはり「スピード」も欠かせない要素となってきます。
今はお客様のデータは私が管理しているので、とりあえず作業をするルワンダ人に欲しいのが「正確性」と「スピード」です。
なお、作業においてという枠組みを取り払うと、これらより優先して最も重要となるのが「信頼性」になります。
しかし現状は友人などから信頼できる人に声をかけているので今のところ問題なさそう。
作業の正確さ
問題点
前述の通り、現状ルワンダ人に最も求めるのが作業の正確さです。
当然ルワンダ人の作業だけでなく2重、3重のチェックを行うわけですが、出来ればルワンダ人の作業の段階でミスは極力減らしておきたいものです。
しかし最近、少しミスが目立ってきました。
作業にも慣れてきたせいか、
「作業の手順が逆転してしまう」
「今までしなかった単純なミスをする」
という場面がちらほら、という状況でした。
解決策①重要性を理由つきでイメージしてもらう
仕事に限らず、自分が全体のどの部分をやっているのかを理解してもらうのはとても重要なことです。
ルワンダ人にやってもらう作業は、
- クライアントからパートナー事務所が会計・税務サービスを請け負う
- パートナー事務所より、会計・税務サービスのうち記帳の部分だけを請け負う
という順番で流れてきます。
そのため、何のためにこの作業があって、この作業が他にどういった影響を及ぼすのかわかりにくくなっています。
なので、自分たちの作業の位置づけとその影響については丁寧に伝えるようにしています。
もちろん、はじめにこれらのことを話しましたが、それだけだと忘れてしまうかもしれない。
何より1発ではなかなか理解できないでしょう。
(余談ですが、1回言っただけですべて理解・記憶してもらおうとしている上司はアホだと思ってます。自分も昔アホでした)
そこで、ミスをしてしまったときにも「これは違うよ」ではなく
「ここを間違えるとこういう影響が出ちゃうんだよ」
「この作業はこういう意味を持つから間違えると大変なんだよ」
と、出来るだけ全体像と絡めて伝えるようにしています。
これははじめから意識していることなので、今回ミスが減ったこととの直接的な関係性はあまりないかもしれません。
ただ、わたしの言葉が「響く」下地になっている部分でもあると思うので紹介しました。
解決策②その日のはじめに自分のメモを読んでもらう
これから紹介する2つは直接効果があると感じたものです。
「記帳代行」においては、お客様が増えたり、お客様の事業が大きく動かないかぎり仕事のパターンは限られています。
新しい判断や、応用を必要とする要素はそこまで多くないんです。
なのになぜミスが出てしまうのか?
その理由はとても単純。
教えたことが出来ていないから。
ではなぜ出来ないのか?
彼女の能力が低いからでしょうか?
決してそんなことはありません。
注意の仕方が悪かったんです。
私はミスがあるたびにその点について注意をしていました。
すると、どうしても意識は注意された作業に限定されがちで、効果が長続きしないんですね。
注意された直後は高い意識を保てるものの、時間が経つにつれてまたミスの発生するレベルまで戻ってしまう。
そもそも、作業自体は難しいものではないので最高レベルの意識を保ち続ける必要はないんです。
最低限ミスをしないレベルを継続できた方が良い。
なので、作業の開始時に自分のメモや注意点を読んでもらうようにしました。
また、ミスが出始めたタイミングでは休憩を入れ、再開時に再度ミスが出た部分を中心に軽くおさらいをします。
そうすることで、作業をミスなく行うための最低限の集中と意識を保った状態を継続しやすくなり、結果としてミスも減少します。
解決策③90分に1回は休憩をはさむ
私は、ルワンダ人が記帳代行に適性があると判断した理由の1つに、
「単調な作業を淡々とこなすことができる」
ということがあります。
自分が1時間で「疲れたー」「お腹空いたー」「ビール飲みたいー」「死ぬー」となってしまうようなことでも、文句も言わず黙々と作業をする。
そんな場面を何度も経験してきました。
この活動においても、休憩のタイミングはルワンダ人に任せるようにしていました。
するとなんとまあ、私が「ランチにしよう」というタイミング以外で一度も休憩をとろうとしません。
はじめは「やっぱルワンダ人の忍耐力はすごいな」なんて呑気に関心していました。
でも、当たり前だけど彼らも人間。
やはり長時間やっていると気付かないレベルで少しづつパフォーマンスが下がってくるんですよね。
このままだとせっかくの長所が短所になってしまう。
ということで、最低でも90分に1回は休憩を入れるようにしています。
本当は集中力が続く時間は個人差があるので、自分のタイミングでちょこちょこ休憩をとって欲しいのですが、ほっとくとやり続けちゃいますから。
まずは休憩の重要性をわかってもらうという趣旨で90分を目安にしていこうかと思います。
作業のスピード
問題点
まだまだ、作業スピードはかなり遅いです。
今後お客様のニーズに応え、またビジネスとして成り立たせるためには今の1.5~2倍程度のスピードは欲しいところ。
そして悩ましいというか注意しているのが、
絶対に「早く終わらせて」と言わないこと。
繰り返しになりますが、作業の優先順位は
- 正確さ
- スピード
になります。
「はやくはやく!」という事でスピードが上がっても作業が適当になってしまってはアウト。
なので、今は
「いかにスピードを意識させずにスピードを上げるか」
というところに力を入れています。
解決策
「スピードを意識させずにスピードを上げる」というのはどういうことでしょうか?
PCスキルを高める
今ルワンダ人の作業スピードが遅い理由の1つに、PCに慣れていないことが挙げられます。
特にタイピングとExcelの作業。
これ、本当に超絶遅いです。
ショートカットもほとんど使わないし、使ってもトリッキーな指の使い方をします。
なので、PCスキルを上げることで自然に作業スピードが上がるよう、基本的なPCの使い方も併せて教えるようにしています。
仕組みを作る
どうしても、「判断」と「手作業」が増えるとそこに時間がかかってしまいます。
なので極力これらが介入しないような作業にすることも考えています。
まだここは取り組み切れていれないところなのですが、イメージとしては
- 手で数字を入力するのではなく数式を使って勝手に入力されるようにする
- 使っている会計ソフトの機能を最大限に活かす
みたいなことですね。
慣れ
あと、まだ経験が浅いので遅いですが、ある程度経験を積めばスピードはついてくるのかなとも期待しています。
ただあまり楽観視もできません。
というのも、現状給料も作業量に関わらず一定なので「作業効率を高めよう」というインセンティブがないんですよね。
また、前述の通りルワンダ人は忍耐強いので、多少作業が長引いてもあまり苦にした様子はありません。
「はやく帰りたいから早く終わらせる」みたいな意識が感じられないんです。
慣れでスピードがついてくる、というのは日本人ほど期待できないかもしれない。
ここは少しデリケートなところですね。
インセンティブがあり過ぎると結局は焦らせているのと同じなので、もう少し様子を見てから考えようと思います。
将来的には作業量と正確さの両方を組み込んだ評価システムを作ってうまくバランスをとることも考えています。
まとめ:成果と今後の課題
正確さ
こちらについては、解決策の効果をかなり感じています。
体感としては一番ミスしていた時期の8割くらいはミスが減っています。
とりあえずはこのままの方針で行きたいと思っています。
チェック機能と合わせてミスがほぼ発生しないレベルまでいけるように今後も考えていきます。
スピード
まだまだ求めるスピードには至っていないものの、少しずつ早くなっています。
様子を見つつ継続して改善策を考えていきたいです。
さいごに
ルワンダ人がしっかり仕事をできるようになったり成長するのを見ると、本当に自分のことのように嬉しいです。
今わたしがやっていることは、少しボランティアや協力隊のイメージとは離れています。
ビジネスビジネスしている。
でも、「現地に対する愛をもって、現地のためになることを現地人と一緒にやっていく」
という点では変わりはないし、誇りをもって今の活動をしています。
まだまだ私もサポートする側として未熟なところばかりですが、引き続き一緒に成長しながらやっていきたいと思います。
つぎにおススメ!
・いま、ルワンダの教育のためにすべきことは「ゴールを作る」こと