私のカウンターパート(以下、CP)はコーペラティブ・ビジネス担当ですが、過去の記事にも書いた通り最近この役職に就いたばかり。
なので挨拶も兼ねて今週からコーペラティブだけでなく1件1件商人を訪問して情報の更新と問題点のヒアリングを始めています。
ヒアリングの落とし穴
ヒアリングのおおなかな流れは以下の通り。
①CPが自己紹介
②私の自己紹介
③CPによるヒアリング
③のヒアリングはネイティブ同士本気のキニアルワンダで行われるためほとんど理解できず。
CPは若干英語ができるため、英語とキニアルワンダを織り交ぜてヒアリングの内容を共有してくれます。
このあと疑問点があれば追加で質問をします。
1件目は個人商店。
ヒアリングの結果見えて来た問題点の1つに「記帳を全く行っていない」ということがありました。
記帳を行わないと何が売れて、どの商品がどれだけの利益を生んでいるかわからないため行き当たりばったりの経営になってしまいます。
とはいえ、「記帳」そのものは直接利益を生み出すものではないためその必要性・重要性はなかなか理解しがたいものです。
しかしCPはこれを問題視してくれました。これは嬉しい誤算です。
ここで自分は会計の知識があるため、
「こんな風なワークショップをやって、地域の人に記帳を教えることが出来るよ。」
と伝えるとCPも乗って来てくれました。
(こんなに早くやるべき事が見つかった!良いぞ。)
ここまでは良い流れでした。
その後2件目、3件目と続きヒアリング後にCPが口にする問題点は
「記帳を行っていない」
ということのみでした。
3件も続くとなんとなく話している内容も推測できるようになってきて、ここである疑念が生まれました。
2件目以降CPは主に記帳の話だけをヒアリングして、その他の問題点は詳しく聞き出してないのではないか?
3件目の個人経営のバーの出口で確認すると、その通りでした。
CPの中では記帳のワークショップをやることで頭がいっぱいになってしまって、それ以外にほとんどアンテナを張っていなかったのです。
自分も最初は「このくらいで良いか」と思ってしまいました。
「活動開始1週間で大きな課題が一つ見つかった。順調過ぎる。とりあえず今日はこのくらいにして、ワークショップの準備でも始めようか。」
「このくらいで良いか」からもう一歩踏み出す
しかしここで監査法人に勤務していたころの失敗を思い出しました。
毎日遅くまで作業をしていて疲れている中、クライアントから貰った資料でいまいち理解出来ない部分が。
「そんなに大きな問題でもなさそうだし。このくらいで良いか。」
と判断して検討を省いてしまったことがあります。
その後、その部分をもっとしっかり検討するように上司に突っ込まれ結果として誤りが発見されました。
ここで妥協したら前と同じではないか?
もう一歩踏み出してみよう。
そう思い、CPに勇気を持って言いました。
「もっと他にも問題点がないか戻って聞いてみよう。」
最初CPは
「問題なんてたくさんあるよ。お金の問題とお金の問題と…」
なんて冗談混じりに言ってましたが、私の真剣な様子を見てすぐに
「じゃあ戻って聞いてみようか」
言ってくれました。
するとこのバーの店主は記帳以外にも以下のような問題点を抱えていることが新たにわかりました。
・商品に欠陥があってもサプライヤーは損失を負担してくれず、週に何本分かビールの仕入額がそのまま損失になってしまっている。
・料金の後払いが出来るが、何人かの客は支払いが極端に遅れたり、支払いがない人もいる。
・税金を支払うための銀行がこの地域にはなく、隣町まで税金を支払いに行くのに往復2,000RWF(300円ちょっと)かかってしまう。
などなど…
どれも劇的に地域の収入向上に繋がるものではないかも知れませんが、特に最後の税金支払いは他のお店も同じ状況であれば簡単な仕組みづくりで解決できそうです。
今回のように毎回発見があるわけではないでしょうが、
「もうこのくらいで良いか」「そろそろ帰りたい」「面倒くさい」と思った時にこそ何か問題解決の糸口があるかも知れないと、もう一歩踏み出してみることの大切さを認識しました。
まだまだコーペラ・商人訪問は始まったばかりなのでこの気持ちを忘れずに他にも問題点・やるべきことを見つけて行きたいです。