こんにちは、アフリカ在住ブロガーのぴかりん(@dujtcr77)です。
芸人のジミー大西さんを知っていますか?
大人のたくみの技 pic.twitter.com/S4usHXlbmz
— ジミー大西 (@j_hideaki) 2017年5月19日
コーヒーとオレンジジュースを持って「大人のたくみの技」。
まったく意味がわかりません。笑
芸人であり、同時に画家でもあるジミー大西さん。
最近では年末の『笑っていてはいけない』やAmazonの『ドキュメンタル』シリーズなどに出演しているイメージが強いですね。
そこでもやはりはちゃめちゃというか、芸人としては異質な雰囲気のあるジミーさん。
そんなジミーさんを題材にした連続ドラマ『Jimmy~アホみたいなホンマの話~』がNetflixで2017年7月7日より配信されます。
ジミーが明石家さんまやその仲間たちと出会い、その才能を見出されお笑い芸人、そして画家になるまでのストーリーを描いたドラマ。
今回はそのノベライズ本『Jimmy』を読んだので感想を書いていきたいと思います。
『Jimmy』あらすじ
ジミーの高校時代の通信簿は、体育と美術だけ2、それ以外はすべて1。
そんな絶望的な成績で、ジミーが高校教師に連れられてきたのは吉本興業だった。
「掃除夫でも付き人でもなんでもいいので面倒見てやってください」
そう頼み込まれ、また断れない相手からのコネということもあり芸能部長の宇田川は渋々ジミーを吉本へ受け入れる。
こうして吉本で働き始めることとなったジミー大西。
「なんば花月」という劇場に出入りしていたジミーはある日、自ら反省として下半身丸出しで股間を階段の手すりにくくりつけていた。
そこにやってきたのが当時人気絶頂の明石家さんま。
24時間話し続けているような男が、言葉を失った瞬間だった。
「お前、誰や」
ようやく声を取り戻したさんまが、おそるおそる尋ねる。
これがジミー大西と明石家さんまとの衝撃の出会い。
『Jimmy』は、ジミー大西が明石家さんまや周りの芸人、マネージャーたちと出会い芸人に、そして画家になるまでの物語である。
感想
明石家さんまがかっこいい!
『Jimmy』というタイトルの小説なのですが、まず最初に抱いた感想は「さんまさんかっけえ」というものでした。
常識では考えられない大失敗を繰り返すジミーさん。
吉本興業の社員や他の芸人には「クビや」「向いてない」と言われ、何度も芸人引退(というか追放)の危機にされされました。
しかしそんな時、いつもさりげなく彼を支え、助けたのは明石家さんまさんでした。
バラエティにドラマに大忙しなはずのさんまさんは、落ち込んでいるジミーさんのために駆け付ける場面も。
特に印象に残ったのが、ジミーさんが芸人としてもうまくできないだけでなく、学生時代にイジメられ、野球でもうまく行かなかったことをさんまさんに告白するシーン。
「僕は…そんなアホでダメな奴なんです」そう落ち込むジミーさんの話を聞いてさんまさんが笑い始めます。
さんまはまた肩を揺らして、ひーひーと笑う。
そして、突然、ふっと真顔になると、大西の方にぐいっと向き直った。「お前、自分のこと…ミジメて思うてるやろ」
「…は、はい」
「アホ!」
さんまは一喝した。
「お前にミジメって言葉な、死ぬほど似合わへんで」(略)
「笑えんことなんてな、この世にいくらでもあんねん!けどな、それ全部おもろいってなって笑ったら、笑ったもんの勝ちになるんや!そういう風にできてんねん!笑ってみい!」(略)
さんまに言われ、大西は口角をぐいっと引き上げる。
「もっと!」
大西は歯をむき出し、顔をくしゃくしゃにして笑った。
「そうや!それがおもろいってことや!」
さんまが嬉しそうに笑う。大西の笑顔もさらに大きくなり、そして突然、大きく崩れた。
「何で泣いとんねん」
大西は「う、嬉しくて」と震える声で言った。
「僕の、うんこみたいな人生、笑ってええなんて、そんなん、思ったことなくて。嬉しくて…嬉しすぎて」
嗚咽がこみあげる。涙と鼻水と涎で顔中ぐしゃぐしゃにしながら大西は泣いた。
なんだか妙に気持ちよかった。
涙や鼻水や涎と一緒に、心の中にため込んでいたものが流れ出たようだった。
引用:『Jimmy』(文藝春秋)p.66-68
また、ジミーさんの行動に悩まされたマネージャー・京子さんに相談されたとき。
いつも一緒にいる村上ショージさんらと相談話をネタにしてなんでも笑いに変える姿に京子さんはため息をついて呆れてしまいます。
なんだかもう、真剣に相談するのがバカバカしくなってきた。
「笑い、お好きなんですね」
とげとげした口調で言うと、さんまは「涙よりええやろ」と笑った。
引用:『Jimmy』(文藝春秋)p.259
その他の名言
この他にも、さんまさんをはじめ、ジミーさんを支える人たちが名言をたくさん残しています。
お笑い芸人か画家か、自分のやりたいことが何なのかわからずに悩むジミーさんに明石家さんまさんは言いました。
「そもそも俺は努力いう言葉、大嫌いやねん。辞書から消したいんや。お母さん、舞台でよう長台詞言うとるけど、覚えるのしんどいか?」
さんまに問われ、しのぶが宙を見て、首をかしげる。
「そりゃあ、しんどいけど…しんどくない」
「それはしんどくないねんて。いや、ほんまはしんどいかもしれん。でも、好きやったらしんどいなんて思わないねん。大好きやったら、しんどいを超えられるねん」
引用:『Jimmy』(文藝春秋)p.269-270
せっかく書いた絵が雨漏りで台無しになってしまい落ち込んでいるジミーさんに、さんまさんが引用した芸術家・岡本太郎さんの言葉。
「僕は、どんなに苦しい時でも、苦しい顔をしないから、自由気ままに生きているように見られたね。
僕は、今まで、どんなにどんなに苦しい状況のなかにあっても、にっこり笑って、悲劇的でありたいと思っていたからね。食えなけりゃ食えなくても、と覚悟すればいいんだ。それだ第一歩だ。
その方が面白い」
引用:『Jimmy』(文藝春秋)p.323
まるでジミーさんを通して私たちに語り掛けてくれるようなセリフの数々に元気と勇気をもらうことができます。
才能を見出すことは可能性を潰さないことから始まる
『Jimmy』を読んでいて感じたのは、ジミー大西さんはとても運の良い人だなということ。
いわゆる「普通に」仕事をするための能力が著しく欠如しているジミーさん。
彼が行きついた先が芸人じゃなかったら、さんまさんのもとじゃなかったら、ジミーさんは諦めるか追い出されるかで腐っていたかもしれない。
でも、ジミーさんの周りには彼の才能を見出し、見守り、育てようとする人たちがいました。
そして本当にやっていて夢中になることに出会うことができました。
普通のことができないから、皆がわかるようなことがわからないからといって「ダメな人間」というレッテルを貼ってすべての可能性を潰してしまうのはどんなに恐ろしくもったいないことか、そんなことを読んでいて強く感じました。
「才能」と聞くと、どうしても見出す、伸ばす、というイメージがあります。
でもそれと同じくらい大切なのは、人の才能を勝手に潰さないこと。
私たちの何気ない一言でも、それはつぶれてしまう可能性があります。
「才能」という花が咲く前に、その芽を踏みつぶさないように意識したいものです。
さいごに
「ジミー大西を題材にして350ページ以上の本」
失礼な話「そんなにもつか!?」と思いながら読み始めました。
ジミーさん、芸人としては好きなんです。
そしてたくさんの伝説も持っている。
きっとある程度は面白いんだろうなとは思いました。
でも、
いったいどうやってこの本を締めるんだろうか?
ここが一番の疑問でした。
実際には『Jimmy』を読み終えたあと私は、もっと読んでいたかったような、でもスッキリ、そんな名残惜しさと気持ちよさの混ざった心地になりました。
ただジミーさんの面白おかしい伝説を並べるだけではこの本を紹介しようと思わなかったかもしれません。
どうやってストーリーが展開し、どう終わるのか、それはあなた自身に確かめて頂きたいと思います。
自分が題材になった作品のTシャツを着てTwitterにアップするも、目をつぶってしまう。
最後はそんなジミーちゃんらしい愛すべき1枚で締めましょう。
ジミーです❗Tシャツ出来上りまだ2枚しか、ありません❗すいません❗ pic.twitter.com/NCkYy0XWVo
— ジミー大西 (@j_hideaki) 2017年5月30日