隠れた名著『粗にして野だが卑ではない―石田礼助の生涯』

『粗にして野だが卑ではない』

最近活動をしていると、頭の中にこの言葉が出てくるので再読。

個人的には名著だと思うのですが、いまいち名前を聞かないので「隠れた名著」としてご紹介させて頂きます。

(書評部分はいつもの「です、ます調」がしっくり来なかったので「だ、である調」に変えています。)

元国鉄総裁、石田礼助の伝記

粗にして野だが卑ではない―石田礼助の生涯 (文春文庫) | 城山 三郎 |本 | 通販 | Amazon

この物語は元商社マンの石田礼助が、国鉄総裁になるところから始まる。

国鉄のトップにとって一番嫌な仕事が国会対策である。

「なにとぞよろしくお願いいたします」と「申し訳ございません」の二言さえあれば、と言われるほど低姿勢になるのが普通な中、石田礼助は違った。

背をまっすぐ伸ばし「諸君」から始まる挨拶。

「嘘は絶対つきませんが、知らぬことは知らぬというから、どうか御勘弁を。

生来、祖にして野だが卑ではないつもり。ていねいな言葉を使おうと思っても、生まれつきでできない。無理に使うと、マンキーが裃を着たような、おかしなことになる。

無礼なことがあれば、よろしくお許し願いたい。」

「国鉄が今日のような状態になったのは、諸君たちにも責任がある」

思いもかけぬ挨拶。「無礼なこと」の連発である。

~(中略)~

この爺さん、いったい何者なのか。

一読すればわかるが、この発言に悪意は一切ない

国会議員をこれから一緒に問題に取り組む仲間と捉えたうえで、本当に責任があると思ったからそう言っただけなのである。

「野心も私心もない。あるのは素心だけ」

とも表現される石田礼助の率直過ぎるもどこか気持ちの良い言動を中心に本書はまとめられている。

列車の「一等車」、「二等車」という呼称を差別的な表現であるとして「グリーン車」、「普通車」に変えたのも石田礼助である。

「卑」というモノサシ

この地域の人たちと接していると、特に子供に対して感じるが、まさに

「粗にして野だが卑ではない」

といった印象。

子供はよく「お金をちょうだい」と言ってくるが、これは卑しいわけではないと思っている。

お金がなくて本当に困っている。お金を稼ぐ方法も思いつかない。
そこへお金を持っていそうな人がいるからお金を貰おうとする。

石田礼助の表現を借りれば「リーズナブル」なことである。

この発展の先に「卑」があるのだとしたら変わらなくても良いんじゃないかと思うほどピュアな人間が多い。

大きな問題も多く抱えているので現状で良いかと問われれば答えはもちろんNoだが、何をするか・どのようにするかといった判断の時の為に、

「卑しいかどうか」というモノサシは一つ引き出しに入れておいても良いと思う。

心の持ちようとしても使える

やはりルワンダで活動していると、特に仕事に対する姿勢やマナーの面で日本の常識では考えられないことが多く起こる。

このような時も、イラッとするくらいなら

「別に彼らは自分を嫌な気持ちにさせようと思ってわざとやっているわけではない(卑ではない)。少し粗野(粗にして野)なだけ。」

と考えれば、ちょっと失礼だが気持ちも落ち着く。

カルチャーショックに直面したときのおまじない。

「粗にして野だが卑ではない」

このブログを購読する

記事をはてブ、Facebook、twitterなどで拡散してもらえると嬉しいです!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA