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『セガVS.任天堂 ゲームの未来を変えた覇権戦争(上)(下)』感想・レビュー~タイトルに偽りなし!文句なしに面白いおすすめの1冊~

こんにちは、ルワンダ会計士ブロガーの根本晃(@dujtcr77)です。

今回はおすすめの本を紹介します。

紹介するのは『セガ vs. 任天堂――ゲームの未来を変えた覇権戦争』。
全2巻で上と下に分かれています。

久しぶりにこんなに夢中になれるビジネス書に出会うことができました。

簡単に本の内容に触れたあとに、感想という形で本書を紹介していきたいと思います。

『セガVS.任天堂 ゲームの未来を変えた覇権戦争』内容・あらすじ

セガ vs. 任天堂――ゲームの未来を変えた覇権戦争(上)

本書は当時弱小企業であったセガが、市場を独占していた任天堂をどう打ち破り、またそこから転落してしまったかを描くビジネス・ノンフィクション作品です。

数百にも及ぶインタビューをもとに作成されており、壮大なスケールで読んでて興奮の連続でした。

以下、Amazonの商品紹介ページより引用

1990年、任天堂はアメリカにおける家庭用ゲーム機市場の90%超を握る圧倒的な存在だった。

。一方、セガは大いなる野心を秘めた注目株だったものの、アーケードゲーム専門の中小メーカーにすぎなかった。
だが、トム・カリンスキーがセガ・オブ・アメリカのCEOに就任したのを機に、潮目が変わりはじめる――。

「チーム・カリンスキー」が次々に繰り出す常識破りの奇策は、セガと任天堂の間に莫大な収益をめぐる「仁義なき戦い」を引き起こした。

ソニックとマリオ、日本とアメリカがにらみ合い、家庭から米連邦議会に至るまで、あらゆる戦場で繰り広げられた激闘の行方は? 600億ドル産業を生み出した企業戦争の内幕に、200人を超える取材で迫る痛快群像ノンフィクション。

感想

「まえがき」からおもしろい

この作品は、カナダ出身の俳優であるセス・ローゲンと同じくカナダ出身の脚本家エヴァン・ゴールドバーグのによるまえがきからはじまります。

この2人は幼馴染。
映画『ディス・イズ・ジ・エンド 俺たちハリウッドスターの最凶最期の日』などの脚本・監督・製作を共同担当しています。

本書『セガVS.任天堂 ゲームの未来を変えた覇権戦争(上)』の映画化でも共同監督を務める予定になっているこの2人の会話形式のまえがきが、とにかく面白い!

6,000字のまえがきを任された2人は、最初からふざけすぎなんです。

エヴァン:そんなわけで、皆さんが夢中になって読むはずのこのクールな本に6,000字の「まえがき」を書いてくれとブレイクから頼まれた時も、一も二もなく引き受けたわけです!

セス:これで何字になった?

エヴァン:ええと、250字くらいかな。

セス:ちぇっ、もっと何か言うことはないかな。

引用:『セガVS.任天堂 ゲームの未来を変えた覇権戦争(上)』

ここまでやる気のないまえがきははじめて。笑

そうして始まった「悪ガキ」2人によるまえがきは、ゲームの話になると止まらなくなります。

『ゴールデンアイ007』というシューティングゲームについて話しているときも、

セス:

これは自信を持って言えるんだけど、僕が高校生の時にまともに女の子と付き合えなかったのは『ゴールデンアイ』のせいだよ。

何しろ、あのゲームをするために、何度か実際にパーティーを抜け出した記憶があるくらいなんだから。

引用:『セガVS.任天堂 ゲームの未来を変えた覇権戦争(上)』

最初は文字数のことばかり気にしていた2人が、なんだかんだゲームのことになると夢中になって話してしまう。

そんなゲームを作った会社がどう戦い、どんな歴史を持つのか、めちゃくちゃ気になるんです。

気が付いたら、悪ふざけに見えていたこの2人のやりとりも立派な「まえがき」として機能していました。

駆け引きと激しい展開が気になって止まらない

ゲームの未来を変えた覇権戦争というサブタイトルがつけられている本書。
当初はこの「戦争」という表現に違和感があって「大袈裟だろー」と思っていたんです。

しかし読んでみると、むしろ
これを戦争と呼ばずして何と呼ぶかってレベルで激しい戦いが繰り広げられていました。

例えばドンキーコング裁判。
これは「セガ対任天堂」という構図ではありませんが、個人的に面白いと思ったエピソードなのでここで紹介します。

当時MCA傘下にあったユニバーサル映画が任天堂に対し、以下のような通告をしました。
「『ドンキーコング』は1933年の古典的名画『キングコング』の著作権を侵害している。
このゲームから得られた利益を48時間以内にすべて明け渡すように」

ニンテンドー・オブ・アメリカ(NOA)の社長・荒川實(みのる)とNOAのやり手弁護士ハワードリンカーンは映画会社と話し合いに。
(当時は入社しておらず相談役)

しかしこれが法外な金額を要求する「ゆすり」であると気が付きます。

同様の手口で標的になったアタリ、コレコなどが示談金により解決する中、リンカーンはこのチャンスを逆手に取りました。
彼はいくら調べても、任天堂が『キングコング』の版権を取得した文書がないことに気が付きます。

これを切り札として、示談金を支払うどころか訴訟費用と損害賠償金の100万ドルを勝ち取ったのです。

このように、セガ、任天堂とこれらをめぐる企業が、時には法廷で、時にはCM上で、バチバチにやり合います。

『キングダム』でいう「血沸き肉躍る世界」です。
大袈裟でなく、本当にそれくらい激しい。


画像出典:『キングダム』2巻

単純にゲームの内容やテクノロジーの紹介だけでなく、そこに登場する人物たちの葛藤や生きざまなどに焦点を当てることでストーリーとしてグッと読者を引き込ませる内容となっています。

セガが最強・最凶の敵「任天堂」に立ち向かう

本書では、任天堂目線のストーリーになることもありますが、大筋は、
「セガという弱小企業が強大な敵、任天堂に立ち向かうストーリー」となっています。

「小が大を食う」というのはいつ見ても心踊るものです。

セガ・オブ・アメリカに新しく社長としてやってきたカリンスキーは、任天堂の調査をはじめます。

任天堂の強さの核心に迫ろうとして調査を始めたカリンスキーは、すぐにそのなんでも支配下に置こうとするやり方や
「うちのやり方に文句があるならとっとと失せろ」とでも言うような強面の姿勢に背筋が寒くなる思いがした。

だが、そう感じた理由は、同社のやり口が大半において理にかなっていたからだ。

任天堂は時に人の神経を逆なでするようなことを平気でしたが、その戦略は総じて業界全体を利する傾向があった。

引用:『セガVS.任天堂 ゲームの未来を変えた覇権戦争(上)』

そのあまりの大きさに茫然自失としたカリンスキー。

しかし強大な敵を前にしているというセガの状況を逆手に取ることを思いつきます。

任天堂は正しい判断をしたかもしれないが、カリンスキーがこれまでのキャリアで培ってきた消費者に対する知識からすると、付け入る隙が一つだけあった。

それは彼らが「正しい判断」よりも唯一重きを置いているのは「自分たちの判断」であるという事実であった。

つまり、任天堂は市場の「支配」を象徴する存在なら、セガは「自由」を象徴する存在を目指せばいいのだ。

引用:『セガVS.任天堂 ゲームの未来を変えた覇権戦争(上)』

ここからセガの逆転劇がはじまるのです。

アメリカらしいオシャレなやりとり

『セガ vs.任天堂』の舞台のほとんどはアメリカ。

要所要所に「アメリカらしいな」とつい笑ってしまうオシャレなやり取りも散りばめられています。

たとえば、とあるPRイベントでセガ・オブ・アメリカ(SOA)はエレン・ベス・ヴァン・バスカーク(EBVB)という女性の力を必要としていました。

SOAのマーケティング・ディレクターであるニルセンが、彼女を口説きに言った時のこと。
面談をしてEBVBがふさわしい人物だと判断したニルセンは、彼女に小さな箱を渡しました。

箱の中には釣りに使う大きなルアー(擬似餌)が入っていた。

彼女は意味がわからずニルセンの方を振り向いた。

ニルセンは「簡単なことさ」とでも言いたげな微笑を浮かべると説明した。

「僕は君を釣り上げるように指示されていたんでね。」

引用:『セガVS.任天堂 ゲームの未来を変えた覇権戦争(上)』

もう「クソゲー」なんて言えねえ

本書を読んでの一番の感想。

これだけの人が、自分の人生をかけて、情熱をこめて作ったゲームに対して「クソゲー」なんて表現2度とできないなと。

もちろんゲーム業界全体を考えれば、質の低いゲームはしかるべき評価を受けて淘汰されていくべきなんでしょう。

でもその過程であっても、少なくとも「クソゲー」なんて表現は使っちゃだめだ。
誰もクソなゲームを作ろうとして作っている人なんていないんだから。

これはゲームに限りませんね。

どんなものもそこに関わった人たちの情熱や、流した汗や、時には血の上に成り立っている。

その過程をよく知らない人間が乱暴で安易な表現で彼らの作り上げたものをぶち壊してしまわないよう、気をつけないと。

まとめ

このまま勢いにまかせて感想を書きなぐっていたら、著作権の侵害になりそうなほど止まりません。笑

将来「ビジネス書大賞」をとるくらいの作品だと思っています。

『セガVS.任天堂 ゲームの未来を変えた覇権戦争』は上下巻で出ており、それぞれ結構なボリュームなので、気になる方はまず上巻から試してみて下さい。

セガVS.任天堂 ゲームの未来を変えた覇権戦争(上)

セガVS.任天堂 ゲームの未来を変えた覇権戦争(下)

『セガVS.任天堂 ゲームの未来を変えた覇権戦争』が好きな人におススメ

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