読むとゾッとする!『怖い絵』が知的好奇心を刺激する。「知る」って面白い

こんにちは、アフリカ在住ブロガーのぴかりん(@dujtcr77)です。

「知らぬが仏」という言葉がありますが、
それは絵画についてもそうです。

何も知らなければ普通に楽しめていたはずの作品が、
知ってしまうことで恐ろしくなる。

そんな「余計なこと」をしてくれる本が中野京子さんの『怖い絵』です。

有名な絵に隠された背景を解説することで読む者をゾッとさせる1冊

今回は知りたくないけど知りたい、
怖いけど知的好奇心を刺激する『怖い絵』を紹介したいと思います。

中野京子『怖い絵』

本書は、作家でありドイツ文学者である中野京子さんが22の絵画作品について解説をしたものです。

しかし前述の通りただ解説しているのではなく、
その絵の描かれた時代背景や作者の状況から改めて掘り下げることで、
ゾッとするような事実(または推測)が浮かび上がってくるというもの。

まえがきで中野さんはこう記しています。

特に伝えたかったのは、これまで恐怖と全く無縁と思われていた作品が、
思いもよらない怖さを忍ばせているという驚きと知的興奮である。

引用:中野京子『怖い絵』(角川文庫)

本を読んだ感想は、まさに中野さんの狙い通りになっているなというところ。

本を読みながら「まじか…こわっ」と少し寒くなりながらも、
すぐに誰かに話したくなるような興奮を覚えていました。

前置きが長くなりましたが、いったい「怖い絵」とはどんな怖さなのか、
紹介されている作品を1つだけ紹介します。

ラ・トゥール『いかさま師』


画像出典:今日の1枚 ラ・トゥール『いかさま師 (クラブのAを持った)』- ハムレットの世情日記

本の表紙に使われている作品です。
ラ・トゥールの『いかさま師』。

『いかさま師』という絵のタイトルから真っ先に目が行くのがいちばんひだりの男性。

いかにも悪そうで、カードも隠し持っている。
一見「彼がいかさまをしている絵なのか?」と思ってしまいます。

しかしこの絵に隠された意味はそれだけではありません。

一番右の若者以外の3人はグル

実はこの絵は、一番右の坊ちゃんを他の3人でカモっている絵だったのです。

テーブルの上を見るとこのお坊ちゃんの前にコインが置かれており、
ボロ勝ちしている様子。

「まずは勝たせて…」というギャンブルのいかさまの定石通りといったところでしょうか。

まさにここから、3人の悪い大人たちが動き始めます。

左に座ったイカサマ師

彼は背中にカードを隠し持っており、
今まさにクラブのエースに手を伸ばしています。

ここが勝負時と読んでこのカードを使おうとしているのでしょう。

しかしなぜこのタイミングだったのでしょうか?

真ん中の横眼の貴婦人

実は真ん中の女性の指示によるものだったというのです。

彼がダイヤのエースを切ることにしたのは、おそらく横眼の女性の指示によると思われる。

彼女は大粒の真珠のイヤリングを揺らすことなく、ごく自然な態度で
「さあ、次はあなたの番ですよ」というふうに右手を出している。

ところがその手は広げられておらず、
親指と人さし指だけが伸びた不自然で意味ありげな形だ。

あらかじめ指の数や動きで、男が出すカードを決めていたに違いない。

中野京子『怖い絵』(角川文庫)

そういわれてみるとこの婦人もけっこう悪い目してますよね…。

目つきがなんとも悪い事をたくらんでいるような。

しかしそれだけではありません。

給仕女

とすると、そのタイミングを教えることができるのは、
食事を配ったり酒を注いだりとテーブルの周りを自由に動きまわれる給仕女しかいない。

彼女はカモの手札を後ろから悠々と覗いたあと、
女客に血のような赤ワインを勧めながら
目くばせで、あるいはグラスの持ち方で「その時」を告げたのだろう。

中野京子『怖い絵』(角川文庫)

なんとも見事な連携プレー。

ちなみに中野さんの解説によると、この女が淡い黄色のターバンを巻いているのも偶然ではないのだとか。

淡黄色は裏切り者のユダの色とされており、
中世にはユダの衣装を描くときに用いられたのだと言います。

あなたの回りでも同じような状況が?

この章の最後に中野さんは、なぜこの絵が私たちを引き付けるのかも解説しています。

こんなちまちました悪党どもと愚鈍な若者が織りなすドラマに、
なぜこれほどの吸引力があるのだろう?

それはやはり、愚かな若者を笑った後、
自分も同じかもしれないと急に不安にとらわれるからではないか。

ここには人を陥れようとする人間の邪悪な視線が見事にキャッチされているが、
現実はこれほどはっきり悪が見えるわけではない。(中略)

気づかず猛獣のそばにいることもあると、頭では理解していても、
その場で見極めがつくかどうかはわからない。

中野京子『怖い絵』(角川文庫)

「知る」ということの怖さと面白さ

世の中には「知らない方が良かった」ということがたくさんあります。

ここで紹介されている絵ももしかしたらそうかもしれません。

でも知らないということは、
『いかさま師』でカモになっている若者と同じで自分を守る術がないということです。

知ることは守ること。
そして何より知ることは面白い。

皆さんも是非この本を手に取ってみませんか?

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