落語『元犬(もと犬)』あらすじ・解説

こんにちは、アフリカ在住ブロガーのぴかりん(@dujtcr77)です。

今回は落語『もと犬』の紹介をします。

あらすじ

浅草の蔵前八幡の境内に一匹の白犬がいました。

近所のひとがごちそうを食べさせてくれたり、たいそう可愛がられています。
「キレイで白い犬だ、来世はきっと人間に生まれ変わるよ」と毎日のように言われる。

白犬もすっかりその気になりました。

白犬
次の世じゃなくてこの世で人間になれないかな…

そうだ、この八幡さまにおまいりしよう

ということで白犬は三七、二十一日のあいだ、八幡さまにはだしまいり。
まあ、犬なのではだしなのは当然ですが…

満願の当日の朝、気が付くと人間になっております。

もと犬
こりゃあ人間になってみると寒くてかなわないな。

なんとか着物でも探さないと…

と言っていると、向うからきたのは近所に住んでいる人入れ稼業の上総(かずさ)屋吉兵衛。
この吉兵衛に事情を打ち明けました。

「人入れ稼業」は今で言う人材斡旋業のようなもの。

「へえ、珍しい事もあるもんだ。
わかった、面倒を見てあげるからうちへおいで。
それにしても裸では可哀そうだな。あたしの羽織を着ていきなさい」
と家に連れて行ってくれます。

吉兵衛は女房に適当に話を作ってこの男を紹介する。
ところがなかなか犬のクセが抜けません。

玄関で寝そべるわ、
はだしのまま家に上がるわ、
雑巾をくわえるわ…

女房と相談してこの男の働き口を物好きな千住のご隠居に決めました。
こうしてご隠居のもとに連れて行くと色白で若い男だと気に入った様子。

「ではあとはよろしく」と吉兵衛が帰ると
根ほり葉ほりの質問攻めがはじまりました。

「おまえのおとっつぁん…男親は?」

もと犬
男親?ああ…オスですか。

わからないんです。表通りの呉服屋の白いのがそうじゃないかと。

「オスって言うやつがあるもんか。それにしても、おとっつあんがわからないとは心細いな…。

女親はどうしてる?」

もと犬
メスの方ですか?

メスは隣の町の毛並みの良いのに着いていったっきり帰ってこないんで…

「おまえのおふくろさんは浮気者なんだな…兄弟は?」

もと犬
三匹です。

一匹は生まれてすぐに踏みつぶされて、もう一匹は人間に嚙みつくのでどっか連れていかれました。

「なんだい三匹とは…。

とういうことはお前さん本当にひとりぼっちなんだな…」

その後も年を聞かれて「三つ」と答え、
泥棒が来たら脛をかみついて撃退するなどと言う始末。

変な言動に戸惑いつつも、面白い男をすっかり気に入ったご隠居。
「いせいがいいや。うん、面白いしここにいてもらおう
さあ、お茶でも飲むか。
おまえさんのそばの鉄びんがちんちん煮立ってるから、ちょいと蓋をとっておくれ」

もと犬
ちんちんですか?

まさか人間になってまでちんちんするとは思わなかったなあ。はい、ちんちん。

「なんだい犬みたいな恰好をして…まあいいや。

お茶煎じを取ってくれ。ほら、そこの焙炉(ほいろ)だよ。」

もと犬
え?

焙炉(ほいろ)!」

もと犬
うー、うー、うー。

うー、ワンワン!!

「なんだ気味が悪い…

もう良い。(女中の)お元にたのもう。

おーい、もとはいぬ(いないの)か?」

もと犬
へえ、今朝ほど人間になりました。

解説

江戸時代には白い犬が人間になると真剣に信じられていたと言います。

そんなことが信じられることはない現代ですが、
逆にその発想のおかしさと演じ手のもと犬の滑稽さが妙にマッチして、
現代でも楽しまれている噺です。

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